最近、↓こちらの記事がよく見られているんですよね。
私自身はへーベルを解約してパルコンオーナーになってしまったので今さらへーベルハウスとは何の関係も無いのですが、やはりへーベルハウスが気になっている人は私が過去に書いたブログにたどり着くんでしょうね。
だって、色んな角度からめっちゃ詳しく調べてましたから^^
で、なんで以前に書いた重量鉄骨と軽量鉄骨の比較記事が今頃こんなにたくさん見られているのかなと思ってへーベルハウスのHPを見に行ってみたら、なんとなく理由が分かりました。
たぶん、みんなRATIUSというモデルについて調べていたんだと思います。
2階建てまで限定の重量鉄骨造モデルという従前の重量鉄骨と軽量鉄骨の中間のモデルを投入し、括りは重量鉄骨でなんとなく丈夫そうだしスパンも広くとれるので室内空間を広くデザインしやすそうというなんだか良いとこ取りな感じの躯体が登場したわけですが、
そんな良いことずくめでデメリットが無いなんてことはあるの?って気になった人が色々調べている中でこちらのブログにたどり着いたんでしょうね^^
はい、ということで、
今回はせっかくなので、私の視点で簡単にへーベルハウスの新躯体ラティウスについて簡単に語ってみようかと思います^^
まず、躯体に使われている鉄骨を比較してみましょう。
部位 | 軽量鉄骨造 | RATIUS | 重量鉄骨造 |
鉄骨の厚み | 3.2mm | 6mm | 9mm |
鉄骨柱のサイズ | 80mm角 | 150mm角 | 150mm角 |
鉄骨梁のフランジ厚 | 100mm | 125mm | 125mm |
鉄骨の厚みを見るとまさに中間グレードの商品を投入してきたんだなっていうのがお分かり頂けると思いますが、
これ、以前どこかの記事でも書いたことがあったと思いますけど、不動産投資の世界では鉄骨造の新築スキームでよくやるやつなんですよね。
いわゆる「なんちゃって重鉄」というスキームです。
重量鉄骨造と軽量鉄骨造では耐用年数がぞれぞれ35年と27年で8年も違うので、転売するときに買い手の融資の引きやすさが全然違っちゃうんですよね。(やっぱり表面利回り7%くらいで回そうと思ったら20年くらいは融資が引けないペイできないですから。)
なので、ベストは耐用年数が47年あるRC造ですが、比較的どんな業者でも建てやすい鉄骨造で作るなら重量鉄骨造が良いわけです。
重量鉄骨造と軽量鉄骨造の違いは何かというと、単純に鉄骨の肉厚だけなんです。
肉厚が6㎜以上か6㎜未満かで重量鉄骨造か軽量鉄骨造に分類されるんですが、今述べたように重量鉄骨造になるか軽量鉄骨造になるかで融資期間や数年保有後の売却額に影響してくるので、なるべく建築コストを抑えつつも重量鉄骨造に分類されるように調整した躯体のことをなんちゃって重鉄スキームなんて言います。
なんちゃって重鉄で建てて賃貸付けして満室稼働状態にした上で数年以内に売り払うビジネスモデルが主流なので、やはり融資期間的にも買った人が更に転売したり何回か回転できる方がやりやすいんですよね。
知り合いの不動産投資会社では2億で建てた新築のなんちゃって重鉄アパートに入居者を付けて3億とかで売却したなんていう話を最近聞いたばかりです^^
おっと、すいません。話がそれてしまいました。
でも重量鉄骨と軽量鉄骨では言葉の響きも違いますし、やはり当時のとっとのようにお金は無いけど重量鉄骨が良いっていうお客さんが多かったんでしょうね。
で、結局契約はしたものの、ご希望の広さでは軽量鉄骨じゃないと融資がつかないです、みたいな・・・。
そうなったら案件としてポシャっちゃうし他メーカーに流れていっちゃいますからね。
たぶん、そんな取りこぼしをしないための中間モデルを投入したというのがメーカー側の思惑なんじゃないですかね。
ちなみに柱の強度を比較しておくと、
↑こちらの記事の中でも述べていますが、断面二次モーメントを見てみれば違いは明らかですね。
9㎜厚の150㎜角の断面二次モーメントが1,580cm^4。
6㎜厚の150㎜角の断面二次モーメントが1,150cm^4。
軽量鉄骨造ならば3.2㎜厚の80㎜角なので、凡そ100cm^4ということを考えると確かに柱の本数は圧倒的に減らせますよね。重量鉄骨造と比べると3分の2程度の強度になりますが、軽量鉄骨造と比べれば10倍も強度が高い柱になるんですから。
一方、ちょっと違和感があったのは、重量鉄骨造のはずなのに極低降伏点鋼を使う部分です。
重鉄と軽鉄の比較記事でも述べていますが、極低降伏点鋼は軽量鉄骨用のブレース(筋交い)ですよね。
軽量鉄骨造に筋交いが必要なのはピン構造だからであって、重量鉄骨造であればラーメン構造なので制震デバイスにはサイレスを採用するのが普通なのかなと思うんですが・・・。
ま、シロートがこれ以上考えても無意味なのでやめましょう^^汗
ということで、とっと視点で調べたところによる評価は重鉄を絶妙にコストカットして重鉄でありながら価格面で折り合いをつけた中間ラインナップを出したって感じですかね。
元々あったへーベル標準の重鉄では高くて手が出せない、でも軽量鉄骨造は嫌で、重鉄のようにスパンを飛ばした大空間を実現したいという層向けでしょうか。
本記事では、業界でもそう呼ばれているのでなんちゃって重鉄と表現しましたが、資材価格が上昇する中で実際に増えてきている構造ではありますし、認定工法ではありますが、大手メーカーの財務力あっての工法ですから、そんな中で顧客ニーズに合わせてちょうどいい商品を提供してきたなと思います^^
従来の重鉄だと基礎もゴツくなるのでかなり値段が高くなっちゃうはずですからね。
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