へーベル版の記事や、ヘーベルハウスと他のハウスメーカーの外壁比較記事が結構人気があるので、今回は鉄骨造HM(ハウスメーカー)にとって一番大事な骨格部分の比較をしてみたいと思います^^
骨格である鉄骨に対してどれくらいの外力が加わるのか、また、どれくらいまで耐えられるのか、今回の記事ではなるべく具体的な数値を用いて比較していきますので是非、HM選びのご参考にして下さい^^
各ハウスメーカーの鉄骨部材の肉厚について比較
まずは、各ハウスメーカーの鉄骨柱の肉厚を調べてみました。
ヘーベルハウス
- 軽量鉄骨造 : 角型鋼 3.2㎜厚、80㎜角
- 重量鉄骨造 : 角型鋼 9㎜厚、150㎜厚
積水ハウス
ホームページ内を隈なく探しましたが記載がありませんでした。壁材もそうですが、自信が無いから?掲載してないんですかね。。
積水ハウスが気になっている方は担当者に直接聞いてみて下さいm(_ _)m
大和ハウス
こちらもホームページ内を隈なく探しましたが、C型鋼を組み合わせて使っているという説明しかなく、肉厚等の情報は得られませんでした。
トヨタホーム
- 軽量鉄骨造 : 3.2㎜厚、125㎜角
トヨタホームは軽量鉄骨造しか扱っていないようです。ユニット工法なので少し特殊ですが、確り角型鋼を使っているところは流石ですね。
積水さんも大和さんもネット上での情報開示が無いので比較できません(><)!
具体的な数値を用いた比較を楽しみにしていた読者の方、申し訳ございませんm(__)m
一つの参考指標を以下に載せておきますので、鉄骨系HMで迷っている方は参考にしてみて下さい。
座屈荷重
鉄骨柱に上から重さを掛けたとします。そして、ある一定の荷重(P)を超えるとき柱は急激に折れ曲がります。 このような現象を「座屈(ざくつ)」といいます。
柱の長さを$ℓ$とすると、座屈荷重$P$は以下の式で計算できます。
$$P=n\frac{\pi^2EI}{ℓ^2}$$
※$E$はヤング率(定数)といって金属毎に異なります。
※$\large{n}$も定数で、一端固定なら\(\frac{1}{4}\)、両端固定なら4、両端回転軸なら1のように数値が入ります。
ここでまだ分からない文字がありますね。そうです、$I$です。
$I$は断面二次モーメントと言い、鉄骨柱の断面の形や面積による曲げ強度、抵抗力のことです。
と、言葉で説明してもピンと来ないと思うので、よくある角型鋼(□)を例にとって説明しますね。
(この他に例えばC型鋼とかH型、丸型とかがありますが、今回は角型でお話しします。C型鋼を組み合わせて使っているHMもあるので、気になった方は❝断面性能表❞をググってみて下さい。)
例えば、ヘーベルハウスの軽量鉄骨造ならば3.2㎜厚の80㎜角なので、上の表だとピッタリの鉄骨が無いですが、およそ75㎜角と同等の$I=75.5\scriptsize{cm^4}$程度と推察できます。
ヘーベルハウスの重量鉄骨造ならば9㎜厚の150㎜角なので、$I=1,580\scriptsize{cm^4}$と推察できます。
トヨタホームは3.2㎜厚の125㎜角なので$I=376\scriptsize{cm^4}$と推察できます。
イメージでも何となく分かりますが、同じ素材ならば細いほど、また、長いほど強度が落ちるのが数式からも理解できますよね。
それじゃへーベルの重量鉄骨造が一番強いのか?というとそういうことではありません。
結局のところ、構造計算をしてある程度の耐震性をクリアするように造っているので、耐震等級3をクリアするように造って下さいと言えばどこのHMでお願いしても一様に同じ耐震等級で造れるのです。
つまり、肉厚が薄くて細い軽量鉄骨を採用する場合は柱の本数が増え、重量鉄骨ならば柱の本数が少なくて済みます。
最近は240㎝だと低い気がしますが、同じ柱の本数、断面でそのまま柱の長さを伸ばしたら建物は弱くなります。例えばへーベルでは2階まで吹き抜けのような大空間を作るために、接合部(コラムカプラ)不要の22㎜厚の鉄骨柱を用意しているようですが、これも先程の座屈荷重の式に当てはめれば$ℓ$が長くなってしまうので、断面二次モーメントを大きくすることでバランスを取っているということになります。天井高を高く出来るというHMは結構多いですが、ちゃんと座屈対策されているのかを確認しましょうね^^
本気で比較したい場合は、同じような間取りで簡単な設計図を起こしてもらい、柱の本数と、柱の規格を調べれば、数字として比較できるということです。
それ以外にも、例えばへーベルの重量鉄骨造の耐震等級3はオイルダンパーを含まずに計算されているって知ってましたか?
こういう情報は直接へーベルの建築士とかに聞かなければ知りようがない情報です。
各HMを回ってセールスマンの営業トークに乗せられるんじゃなくて実利を検証しましょう^^
どのHMにしようか迷っている人は、こんな観点から比較してみるのも面白いと思います^^
コメント
数値はわかりませんが、ビニール製の□ ℍ 模型でH鋼は弱いだの、他社悪口営業の会社で
思いっきり引くと同時にそんなに自信ないのかと感じ止めましたね。
とにかく契約させよう感で、確かに熱く口上手い営業でしたが。
自慢のネオマで床が凹む記事が多いです。
私が契約したときのへーベルハウスの担当者はさすがに他社の悪口とかは言ってなかったですがその辺は支店毎に違うんですかね。。
いずれにしても営業トークはすごく上手ですね^^(私も一旦は契約させられちゃいましたし。)
素晴らしいホームページをつくっていただき有難うございます。
以下にご参考になるかと思われるページを見つけました。
宜しければどうぞご覧下さい。
https://www.g-mark.org/gallery/winners/9dca7bea-803d-11ed-af7e-0242ac130002
現在は、ダイナミックフレームシステムが加わり数値や構成部材が変更
されているようです。
梁がH鋼をアルファベットの「アイ」のようにして縦に二段重ねして用いる
みたいです。サイズにより2種類あります。板厚などは不明です。
私はパルコンで建てたくて、都合により積水で建てました。
個人的な感想ですが、積水は「しっかり利益を確保するギリギリの造り」・
「建設数が多く戸建メインなのでクレームを極力発生しない造り」
(規格モノなので一度構造欠陥などが起きれば倒産しかねない)
・・・という印象です。
正直、値段の割にモノは良くないです。
しかし、震災などが発生した際の対応力は他社とは比較にならない程よいです。この点は値段なりのサービスです。
あの独特な構造の基礎も、解体時の手間を考慮しているみたいです。(メーカーは大ぴっらには言いませんが)
100年住宅など謳うメーカーも出てきましたが、実際には30年位で解体しますから。
産廃廃棄物の量と質は大企業にとって社会責任として厳しく問われる時代です。
海外にも進出する企業なら猶更です。
積水ハウスには、省エネ性能の向上を業界のリーダーとして牽引していって
欲しかったですね。
特に、窓と玄関ドアは対応も難しくないはずなのに対応が後手にまわっているのはリーディングカンパニーとしてどうかと思います。
コメントありがとうございます。
積水ハウスは特殊な基礎形状や常識の真逆を行く梁勝ち構法などそれまでにない手法を取り入れている非常にチャレンジングなハウスメーカーですよね。
間違いなく業界のリーディングカンパニーと言えるでしょうが、確かにそうですね、省エネ対策は後手に回っている印象を受けます。
基礎も梁勝ち構法も強度等は全く問題ないのですよね。
必要十分。(シャーウッドはギリギリのレベルですが)
90年代終盤頃からの造りは十分過ぎるレベル。
地元のお金持ち農家さんがパルコンとヨーコンのお家を
よく建てていらして・・・
ご子息が相続をむかえて・・お家が「重石」
になっていたのをみかけました。
それは、建て直しや更地にして敷地を売却する際にです。
PC/RCの建物は解体にお金が掛かりますが、パルコンは
基礎が物凄くて特に大変そうでした。
コンクリート住宅なんてリフォームして何十年も住めばよいし、
住まないのなら綺麗に直して売却すればよいのですが
日本は新築信仰みたいなものに囚われていて(?)そうはしません。
地元に70~80年代前半位のPC/RCの戸建住戸が空家になって何棟も
打ち捨てられているのを悲しく思ってみていたのを、
自分が「不本意ながら」積水で建てることになって思い出しました。
こんな簡素(に見える)な基礎・プレハブ小屋に毛が生えたような
テキトーそうな造りにも理由があるのだとその時に理解できたのですね。
利益をしっかり出して企業が存続し続けなければ顧客の為にならないし、
多くが長くとも30年で解体される戸建住戸は解体時に経済的に顧客に
負担をかける。
「環境負荷」がいわれるようになるよりも以前から、建築廃材は問題に
なっていましたし。
物量を投入して良い物をつくる事は素晴らしい事です。
でも、人間は知恵をはたらかせて工夫して、エネルギーと物量をセーブ
しても、「それなりの出来の物」ではあっても良い物をつくる事ができます。
長く住宅メーカーとして存続してきた今でも、決して手放しでは褒められな
い積水ハウスですが、土建屋さん建設・建築屋さんとはまた違うアプローチで家づくりを続けています。
部材強度や構造で評価をするのはひとつの指標になります。
視点をかえて視野をひろげると、また違った指標がうまれると思います。
そうした観点でお家選びや物選びを紹介しているサイトがあるといいな
と思いました。
長々と書き連ねてごめんなさい。
なるほど面白い観点ですね。
私の見立ては真逆になってしまいますが、これまでのスクラップアンドビルド(30年で建て替える)の時代は終わって、これからは如何に長く住み続けられるかという時代になっていくと思ったので耐用年数が長いRC造を選びました。
これから日本の国力は更に落ち、若者が新築を建てる余力も更に無くなっていき、インフレ圧力(&金利上昇圧力)も加わり借入もしにくくなるなら、私の世代で本当に長く住める駆体で建て、子供、孫、更にその先の世代まで使うのも有りかなと。
もし子供が他の場所に新築を建てるなら売却するか賃貸に出せばいいかなと思っています。
これで最後にさせていただきます。
管理人さまが経済の専門家とお見受けしましたのでこちらで、
一般的な視点・観点とは異なる見方を述べさせていただきました。
積水(ほかにも旭化成・ナショナル住宅 など・・今ですとリクシル系 など)
はお客さんに住処を提供しようと出発したのではなく、ご存じの通り
自社の製品(プラスチック製品・ALC板・住宅設備・電設材)の大口需要の
市場を開拓しようとして設立されました。
積水ハウスは紆余曲折を経て、海外進出もする世界的にも最大級の規模レベルの
戸建住戸メーカーになりましたが、環境問題や資源問題に直面させられ
経営を左右します。
ミサワも創業者の広い視野と見識(と商いの嗅覚)にから、材木商を母体にした
木造住宅メーカーであるにもかかわらず、いずれ直面すると予想される資源問題に対応
する為に「鉄骨+外壁と内壁を兼ねるコンクリート板」構成の工法を主力に
切り替えようとしました。
ユニット工法の進化・発展も試みます。
積水ハウスは「住宅メーカー」になる過程で、在来軸組~2×4からRC造までおよそ考えられる
すべて工法を「商品化」しました。
PC造とユニット工法以外はすべて試しています。
企業が理念や思想・経営戦略としていくら努力しても、時代の要請
や市場の要請に影響されます。
積水ハウスはほぼ全ての工法を試した上で本音では木造をやりたくないようです。
(内部発言)
しかし市場は木造を支持して木造商品が主力になっています。
PC/RC造はひとつの理想形だと思いますが、お金を出して・住む人は
それぞれ事情があり趣向もあります。
私も熟慮した結果パルコンを選択したのですが、予算・間取りの自由度・同居する
家族の趣向を勘案して「積水ハウスの鉄骨造」で建てることに落ち着きました。
ウチも、私が多少でも住宅に知識がなければ、ビルダーのローコスト住宅で
内装クロスや床の色を選ぶ時間を多くかけて建てていたでしょう。
日本では戸建住戸でコンクリート造はなかなか受け入れられません。
内装や間取り・外観デザインで提案力・実施力が弱いメーカーがコンクリート系メーカー
だったりもします。
PC造でも、センスがよく見識豊かな方で時間を費やせられるのなら素晴らしいお家を建てられますし、
フルオーダーのRC造なら、コンクリートでも木造絶対派も納得させる内外装ともに満足のゆく
理想のお家を建てられますがお金持ちでもなければ難しい。
お金・お家・環境で人生に役立つ情報を提供・提案するには一面的な情報では弱い。
自分だけ理想のお家に住んでいても、国土は住宅廃材と産廃だらけ町並みは醜く道路は狭く、
電車の車窓から見えるのは貧富で色分けされた格差の光景・・・
これでは幸せな気持ちにはなれません。私は。
こちらのサイトは広い視点でとても具体的な提案をなさっておられてとてもタメになります。
人生を豊かにする情報をこれからも提供してください。
興味深いコメントありがとうございました。
色んな角度から物事を捉えるのは大事ですよね。今回頂いた読者様の見識やコメントもこれからおウチを新築される方にとって大変有益な情報になるものと思います。