【比類なき壁】ヘーベルハウスの外壁について正しく理解してますか?

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不動産一般

ただいま家の建て替えを検討していて、住宅展示場巡りをしています。

自分でも色々調べながら思ったのですが、ネット上ではへーベル板について勘違いしている人が多いなと思ったので今回の記事を書こうと思いました。

 

【比類なき壁】ヘーベルハウスの外壁について正しく理解してますか?

 

ということで、今回は「ヘーベルハウスの外壁」についての記事です。
流れとしては、①へーベル板とは、②巷の勘違いポイント、③住宅業界のカラクリ、の順に説明していきます。

へーベル板(ヘーベルハウスの外壁材)とは

ヘーベルハウスの外壁のことをへーベル版と言いますが、別に特別な建材というわけではわけではありません。

商品名がへーベル版というだけで、ALC(Autoclaved Lightweight Concrete)と呼ばれる高温高圧蒸気(オートクレーブ)養生された軽量気泡コンクリートのことを指します。

ちなみに日本国内のALCメーカー及び製品名は、住友金属鉱山シポレックス(株)[製品名:シポレックス®]、旭化成建材(株)[製品名:ヘーベル®]、クリオン(株)[製品名:クリオン®]があります。

 

✔ALCの性能って?

建材としてのALCは、軽量、耐火、断熱、遮音、施工性などのあらゆる性能に優れています。

ALCの高い性能は、無数の直径約1mm の気泡と高温高圧蒸気養生で生成されるケイ酸カルシウム水和物(トバモライト)で構成される無機多孔質材料(約20%の固相と約80%の気孔からなる)であることに因ります。

トバモライトとは自然界に存在している、これ以上は化学変化を起こしにくい大変安定した鉱物です。トバモライト結晶は、強度が強く、長い年月を経過しても物性的に安定しており、熱や酸化に強いという性質を持っています。

➡ つまり、ほとんどが気泡なので、軽量で断熱性能が高い。固相部分は強度の高い結晶構造なので質量に対して高強度であるということです。

 

✔どんなところに使われているの?

主に鉄骨造建築の外壁、間仕切壁、屋根、床に使用されています
その他にも、高層オフィスビルや中低層ビル、高層マンションやアパート、工場・倉庫、大型ショッピングセンターやロードサイドショップ、木造住宅など、さまざまな用途や規模の建物に耐火性能、耐震性能(変形追従性能)、断熱性能、軽量性、短工期などのメリットを生かして使用されるプレキャスト建材です。
➡ つまり、どこでも使われていますし、非常にポピュラーな建材だということです。

巷の勘違いポイント

 

上記の通り、へーベル版=ALCは建材として素晴らしい性能を有しているのは分かりましたが、別にパーフェクトな建材というわけではありません。

私自身、同じ鉄骨系ハウスメーカーで比べてもヘーベルハウスは抜群に素晴らしいハウスメーカーだと思っていますが、ネット上では、ちょっと買い被り過ぎな=間違った認識をしている人もいたので取り上げておきます。

 

~壁を叩くと硬い音がしてとても丈夫に感じる~、
~ヘーベルの丈夫さにすっかり魅了されてしまいました。その頑丈さから、柱を必要としない為、解放感のあるデザインが可能~、
・・・、etc

↑あえて勘違いも甚だしいレベルの発言をネット上から引用しましたが、「比類なき壁」なんてキャッチコピーを付けられたら万能だと勘違いしてしまう人もいますよね。

 

でも、ALCには物理的な強さはありませんし、旭化成ホームズもそんなことは説明していません。

確かに住宅展示場に行くと、へーベル版の実物を見せて貰えて、持つと確かに軽量で硬い、丈夫な印象を受けます。実際、トバモライト結晶という構造ですから質量からすれば非常に丈夫です。

でも、あくまで軽量な割に丈夫というだけで、ALCは言ってしまえば軽石みたいなものですから、そこまで丈夫ではありませんし、防音性もそこまで高くありません。

 

と、言葉で書いているだけでは伝わらないと思いますので、ここから耐荷重、断熱、遮音の3点について、具体的な数値で説明していきますね。

耐荷重(物理的な強さ)

物理的な強さを考えるに当たって、今回の記事では床積載荷重の観点から見てみたいと思います。

床積載荷重は、建築基準法等において用途ごとに定められています。
例えば、住宅の居室は180kg/㎡、教室は230kg/㎡、一般事務室や店舗の売場は290kg/㎡と決められています。
つまり住宅の居室ならば1平米当たり180kgまでの荷重に耐えられるように設計しましょう、という決まりになっています。

 

へーベル板の耐荷重は板の厚さと、へーベル板を置く梁から梁までの長さによって強度が決まります。
例えばヘーベルハウスでは、床材として100mm厚のへーベル板を敷き詰めているので、

  • 長さ2.58mに対して耐荷重280kg/㎡、
  • 長さ2.54mに対して耐荷重300kg/㎡、
  • 長さ2.45mに対して耐荷重340kg/㎡、
  • 長さ2.20mに対して耐荷重390kg/㎡、
  • 長さ1.80mに対して耐荷重490kg/㎡、

といった具合に床積載荷重の限度が変化します。

通常の居室であれば問題無いですが、グランドピアノのような重いものを置いたりする場合は予め設計段階からどこに置くか決めておかなければなりません。

ちなみに鉄筋コンクリート造だと、1㎡あたり耐荷重1t以上になるので、ALCがパーフェクト建材ではないということが分かりますよね(とはいえ、ALCは軽さの割には随分丈夫です)。

断熱性

素材毎の熱伝導率を比較するとよく分かります。

素材 熱伝導率 同じ断熱性能の必要厚
鉄(鋼材) 53.00 W/mK 1900 cm
コンクリート 1.60 W/mK 57 cm
0.50 W/mK 18 cm
ALC 0.17 W/mK 6 cm
木材 0.14 W/mK 5 cm
空気 0.02 W/mK 0.9 cm
ネオマフォーム 0.02 W/mK 0.8 cm

熱伝導率というのは熱が伝わる速さです。鉄の熱伝導率が高いのは経験から明らかですよね。

表の右側に同じ断熱性能の必要厚を記載していますが、これは、素材毎の熱伝導率を元に、厚さ5cmの木材を基準とした場合、それぞれの素材が何cmあれば木材と同じ断熱性能になるのかを試算したものです。

 

ALCはそのほとんどが気泡ですから、コンクリートと比較すればおよそ10分の1の薄さで同等の断熱性能となります。そういう意味では断熱性能は高いですが、一方、ネオマフォームなどの断熱材と比較すれば、同等の断熱性能を持たせるには7倍の厚みが必要になります。

ネオマフォームとは、フェノールという熱に強い樹脂でできた断熱材で、髪の毛の太さほとの小さな気泡構造になっており、気泡の中には断熱性の高い炭化水素が閉じ込められています。そのため、空気よりも断熱性が高い非常に優秀な断熱材です。

➡ ALCにすれば断熱性が完璧! というわけでは無いのです。

遮音性

遮音性についてはへーベルハウスのホムペには具体的な数値の記載はありませんでしたが、旭化成建材ホムペやその他のデータを元に壁へーベルの遮音性能は-30~40db(デシベル)程度と想定されます。

コンクリート壁が凡そ-50dbと言われています。

一般的に10dBの音が低減すると、人の耳には半分の音量になったように感じると言われていますので、遮音性能に関しては鉄筋コンクリート造の半分程度と考えておいた方が無難だと思われます。

ネット上でも、鉄筋コンクリート造のマンションなどからヘーベルハウスに住み替えた人などは、遮音性が低いと不満に感じ易い傾向があるのもこのためだと思われます。

住宅業界のカラクリ

✔ 工業化住宅なのに? 高い金額で買わされるマイホーム。

本来、「工業化=安くなる」ハズですよね?

それなのに住宅業界では工業化を標榜する鉄骨系メーカーの家がやたら高いです。

 

建築士に設計をお願いして在来でお願いした方がはるかに安く仕上がると思いますが、大手HMなら施工管理やアフターフォローなどが安心材料でしょうし、結局安心を買っていると言えばそうなのかも知れません。
(と言っても、アフターフォローというのは名ばかりで、実際には将来の高い修繕費を含めて飼い殺しされてるだけなんですけどね・・・。)

 

✔ 大手ハウスメーカーにお願いするメリットとデメリット

メリットは何といっても、工場で品質管理されるので品質のバラツキが小さくなります。施工店もほとんどが専属なので専門性が高まり易いですし、プレハブ工法ですから工期も短くなります。

➡本来、工場生産されて工期も短く済めば人件費なども抑えることができますよね?
 でも、それが出来ない仕組み(デメリット)になってしまっているんです。

 

デメリットは、こういった大手ハウスメーカーは全国に大型の工場を持っているため、全国的に住宅着工戸数が減少したとしても必ずある程度の受注棟数を確保しなければならなりません(工場を遊ばせておけない)。そのため、展示場やCMなどの経費が高く付きます。

大量生産でコストダウンできるはずが安くならないわけです。
この負担は誰がするでしょう? ➡ もちろん購入者です。

経費や利益を除いた実質的な工事費(原価法ベース)は契約金額の60%程度とも言われています。

 

何だかツラいですよね、買った瞬間に中古で売却価格が60%て・・・。

 

へーベルとパルコンの見積もり出たら坪単価アップしますね!
それでは!

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