【超重要】不動産投資で買い進みたいなら【自己査定を理解すべし】

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投資一般、副業・起業

 

 

私が贔屓にしている不動産投資会社の社長さんがよく言っている言葉があります。

「絶対に決算で赤字を出してはいけない」

 

この社長さんが法人を立ち上げるときに、人生の先輩が教えてくれた会社成功の秘訣だそうです。

 

実はコレ、理由があります。

 

この社長さんは、本番環境の中で経験則的に理解してしていったらしいのですが(←本来これが正しい姿です)、私は昔、銀行員をやっていたのでその理由を知っています。

 

私のブログを見ている人にはもちろん無料で公開します!(* ̄^ ̄)エッヘン!

(というのも金融庁検査マニュアルや銀行の企業調査の手引きなどに普通に書いてある情報なので、実は誰でも調べられますw)

 

この記事は不動産投資をメインに書いていますが、一般法人の経営者の方にも役に立つ内容ですので、知らなかった方は是非参考にして下さいね。

 

 

【超重要】不動産投資で買い進みたいなら【自己査定を理解すべし】

 

 

よくこういうのは結論から書けと言われるので、結論を書きます。

「①延滞しないこと、②キャッシュフローをプラスにすること、③N値以内に収めること」

これだけです。これさえ満たせば不動産投資で買い進むための素養は整います。

 

 

「何だそれだけか、既に知っているよ」と思った人は読まないで大丈夫です。
知らなかった人は必ず読んで下さい。買い進めなくなっちゃう人と買い進める人の違いが分かります。

 

まず銀行の自己査定を理解しよう

 

不動産投資で一番重要なのは融資を受け続けることです。
そのためには銀行が融資をするための手法を理解する必要があります。

 

これまでの記事では案件評価の5要件など、個別融資のお話をしてきましたが、今回は融資案件がそもそものまな板の上に乗るかどうかの大前提のお話をしていきます。

この大前提を知る上で大切なのが銀行の自己査定を理解することです。

 

自己査定とは(そもそもの意味)

 

  • 自己査定とは、金融機関が債権の信用リスクを管理するために、保有する資産を自ら個別に検討して回収リスクや損失発生リスクを、その度合いに従って区分すること。
  • 自己査定結果に貸倒れの実態等を踏まえることで、債権等の将来の予想損失額等を適正に見積ることができる。
  • 「債務者区分」とは、債務者の財務状況、資金繰り、収益力等により、返済の能力を判定して、その状況等により債務者を正常先、要注意先、破綻懸念先、実質破綻先及び破綻先に区分けすることをいう。

 

➡平たく言えば、貸したお金が返ってくる可能性を貸付先毎に評価し、貸付先の安全度をその度合いに応じて区分けします。そしてその区分けに応じて、統計的に導かれた適当な貸倒引当金を積むことで、貸付先が倒産しても銀行の財務安定性が失われないように備えるシステムです。

自己査定は一義的には銀行のためのシステムですが、債務者区分が正常先でなければ、お金を貸す相手として妥当ではない、ということですから我々としてもこのシステムを利用しない手はないですよね。

具体的な自己査定のやり方・勘所については後述します。

 

既に廃止されているんじゃないの?

 

新聞をしっかり読んでいる人ならご存じかも知れませんね。

そうです。2019年12月、金融庁が金融機関の検査に利用していた「金融検査マニュアル(いわゆる自己査定のマニュアル)」が廃止されました。

 

廃止の背景は、

  • バブル崩壊後の不良債権問題がひと段落した
  • 多様化した経営悪化要因に対して適切な融資ができていない
  • 各金融機関のビジネスモデルと乖離した画一的な検査基準による弊害など

 

➡要するに時代にそぐわなくなった、ということです。

金融検査マニュアルは1999年7月に公表されてからずっと使われてきましたから、もう20年です。
20年も経つとマーケット環境は当時とは全く異なります。人口減少、低金利・低成長、特に情報化技術の向上は凄まじいですよね。

 

✔金融検査マニュアルが廃止されても、基本は変わらない。

 

当初は、金融検査マニュアル廃止によって、融資実務に大きな影響を及ぼすものと予想されていましたが、一応は、これまで通りの自己査定の実務が容認されているため、直ぐに変化は起こらないものと思われます。

 

なぜなら、

金融庁の姿勢は、
従前の「金融庁が事前に正解を示し、銀行が言う通りにやっているかを監督する姿勢」から、
現在は「銀行自身に正解を考えて行動させ、金融庁が後出しで監督する姿勢」に
切り替わりました。

 

この姿勢の変化が金融検査マニュアル廃止の根底にあります。

数年後も変化できていない銀行は自然の摂理で淘汰されていく、というのが金融庁の考えなので、以前のように「こうしなさい!」とは言ってくれないわけです。

 

要するに、
自己査定の実務を無くすのではなく、そこを出発点に、自分たちでブラッシュアップしてより良い実務を作っていきなさい
ってことです。

以降で具体的な自己査定のやり方をご説明しますが、かなり定量的なやり方なのがお分かり頂けると思います。

これまでの銀行のやり方だと、この定量的なやり方で要注意先とか破綻懸念先になると、もはや融資は否決されていました(たとえ安全で有望な先だと分かっていてもです)。
そうならないように定性面も評価するなどの実務を自分たちで考えてね、という形です。

でもね。所詮、保守的な日本人の代表者たちが集まっているような銀行社会ですからね。これまでの自己査定のやり方から抜本的に変わるってことはまず考えにくいです。
だから、私たちはこれまでの自己査定に準じて行動しておけばOKです!

自己査定のやり方・勘所

 

債務者区分

 

銀行では、貸付先毎に債務者調査カードというものを作り、以下のような債務者区分を割り当てています。

  • 正常先
    業績が良好で、且つ、財務内容にも特段の問題がない債務者。
  • 要注意先
    金利減免・棚上げを行っているなど、貸出条件に問題のある債務者。元本返済もしくは利息支払が事実上延滞しているなど履行状況に問題がある債務者。財務内容に問題がある債務者など。
  • 破綻懸念先(どうでもいい情報ですが、銀行員の隠語で「ハケ」と言います)
    現状、経営破たんの状況にはないが、経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗状況が芳しくなく、今後経営破たんに至る可能性が大きいと認められる債務者。
  • 実質破綻先(こちらの隠語は「ジッパ」です)
    法的・形式的な経営破たんの事実は発生していないものの、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがない状況にあると認められるなど実質的に破綻していると認められる債務者。
  • 破綻先
    法的・形式的な経営破たんの事実が発生している債務者。

 

ハケとかジッパは論外です。要注意先も、(見て貰えば分かると思いますが、)アウトです。

銀行員が笑顔で対応していても、正常先以外は人非人扱いされるものと思って下さい。心の中では与信のアンカバー削減しか考えていませんから。

ちなみに要注意先だと貸倒引当金を貸出額の5~20%くらい計上しなければなりません。要注意ⅡとかBとか要管理先とか、銀行によって言い方は変わると思いますが、こういう先だと20%~60%。ハケなら100%です。

 

債務者区分フローチャート(の7つの評価項目)

 

お待ちかね。漸く、債務者区分を割り当てるためのフローチャートのご説明です。

 

具体的には、以下の7つの評価項目を使って債務者区分を振り分けていきます。
実際にはこの7つの項目の組み合わせで30通りくらいに分かれているので全ては説明しません。

と言うのも、正常先でもランクが6つか7つくらい分かれているのですが、我々が目指すのは正常先のランク1~3です。

 

「えっ、そんなに上じゃないとダメなの?」と思うかも知れませんが、そもそもそれが普通です。それより下になると良くないものだと思って下さい。

 

それでは、間違いなく正常先(上位ランク)になる条件を説明していきますね。

 

①延滞有無(無し/6カ月以上延滞)

そもそも論ですが、延滞してお金を返さない人、返す気が無い人なんて論外ですよね。
6カ月以上延滞すると、一発でハケかジッパ確定になります。

 

②キャッシュフロー(+/-)

単にキャッシュフロー(以降CF)と書きましたが、本来、銀行の自己査定では調整後CFというものを使います。
(調整後CFとは、期間損益から法人税と配当金等の社外流出を差し引いた後の留保利益に、減価償却を加算したCFで、企業の事業そのものから生み出される損益を重視した債務返済原資のことです。)
しかし、話が複雑になる&結果がそんなに変わらないので、ここでは普通のCFで話を進めますね。

式で書くと以下のようになります。
CF=税前利益-法人税・住民税及び事業税+固定資産減価償却費-配当金-中間配当-役員賞与
(↑これなら自分で計算できますよね。この結果がプラスになるようにして下さい。)

 

返済可能期間(N値以内/超)

これは式の意味を考えた方が早いです。

返済可能期間(N値)=要収益返済借入金÷3年平均調整後CF
※要収益返済借入金=借入金-運転資金
※※借入金=長期借入金+割引手形+社債+履行可能性の高い偶発債務
※※運転資金=売上債権(割引手形含む)+在庫-仕入債務)

一見、数式が入り子していてややこしいですが、決算書にある項目を抜き出して計算するだけなので簡単です(私のように不動産投資管理会社だったら手形や社債なんか無いわけですから一瞬ですよね)。

N値は、ホテル、旅館、不動産賃貸業ならば30年、その他の事業者なら10年と決まっています。

式の意味は、要するに、現在のCFで借入金を何年で返済できんの?ってことですね。
不動産賃貸業なら30年、普通の会社なら10年以内が自己査定の目安ですが、このN値が短ければ短いほど貸倒リスクは低くなるわけです。私が銀行員だった頃も「N値は何年なんだ?」「正常先でもN値ギリギリ9.5年だろ?」とかそんな会話が飛び交ってました。もうお気付きかと思いますが、「買い続けられる」状態というのは、物件を買う前もそうですが、物件を買った後も、債務者区分が正常先から下がらないってことですからね。

 

一応、この後も残りの項目を説明していきますが、結論は
「①延滞なし、②CFプラス、③N値30年以内」
↑これだけです。
この3つさえ満たせば確定で正常先(上位ランク)です。

 

ここ以降の評価項目は、要注意先の中でどの程度のランクか測ったり、要注意先から正常先に戻れるかどうかくらいの判断材料にしかなりません。

一応、ご参考で説明はしますが、読み飛ばしていただいて結構です。

 

実質債務超過解消期間(超過無し/基準以内/基準超)

実質債務超過額÷(3年平均調整後CF-3年平均調整後減価償却費)

要するに存続価値のマイナスを留保利益で返せるかどうか、って意味です。
こちらはホテル、旅館、不動産賃貸業ならば5年、その他の事業者なら3年と決まっています。

 

デットキャパシティレシオ(100%未満/以上)

借入金÷キャパシティ資産
※キャパシティ資産=現預金+有価証券+投資有価証券+有形固定資産

要は処分して金に出来るものがどれくらいあんの?っていう指標です。いわゆる資金調達能力ですね。

 

返済可能期間2(基準以内/超)

先程のN値をもう少し緩和してみましょうって項目です。

ホテル、旅館、不動産賃貸業:30年 → 40年、その他の事業者:10年 → 30年

 

調達可能期間(2倍超/以下)

(キャパシティ資産-借入金)÷直近調整後CFの絶対値

担保余力による調達可能期間とでも言いましょうか。

 

不動産投資で「買い進み続ける」ためには(まとめ)

 

「①延滞なし、②CFプラス、③N値以内」

↑これだけは絶対に死守しましょう!

 

融資案件が通るかどうかは個別に判断される項目ですが、そもそものまな板に乗るか乗らないかはこれで決まってきます。

まな板に乗らなきゃ検討すらして貰えませんからね。(要注意先でも検討するフリくらいはして貰えますが、不動産投資ならまず融資は出ないです。)

 

 

簡単ですよね?

普通の感覚なら、延滞はしませんし、CFやN値だって、まともな物件を買っていけば基準内でイケます。
そういう物件から仕込んでいけば良いんです。

 

こういうことも、知らなくて、判断を他人に任せちゃうような人が、悪徳業者からロクに収益も出ない(なんならほぼマイナスの)物件を買ってしまって失敗してしまうわけですね。

 

 

せっかくなので、私の保有する不動産管理会社について、試しに計算してみて終わりにしたいと思います。

  • 延滞
    もちろん「無し」です。
  • CF
    =税前利益-法人税・住民税及び事業税+固定資産減価償却費-配当金-中間配当-役員賞与
    =+815万円 →「プラス」
    (因みに過去3年分は、+815万円、+1,250万円、+920万円)
  • N値
    =要収益返済借入金÷3年平均調整後CF
    ={(長期借入金+割引手形+社債+履行可能性の高い偶発債務)-(売上債権(割引手形含む)+在庫-仕入債務)}÷{(815万円+1,250万円+920万円)/3}
    =25,185万円÷995万円
    =25.3年 →「30年以内」

➡私の不動産管理会社は正常先でした。
(もう少し返済が進んでいくとN値も更に下がっていくので、どんどん買い進みやすくなっていきます。←サラッと重要なことを言いましたが、早くエントリーすればするほど資産化するスピードも早いので、同じ時間軸でも買い進める量が変わってきます。)

 

不動産投資を始めようとしている方、既に行っている方、試しに試算してみて下さい。
この考え方は必ず役に立ちますよ。

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