私が就職活動をしていた2006年の頃は安定した大手企業に就職して定年まで食らいついていれば安定した生活が送れると思っていましたが、当時は就活激戦区だった超有名メーカーが今や中国企業の傘下となり、インフラの雄、電力会社ですら安定した就職先ではなくなりました。
年金も崩壊、年功序列も崩壊、ちょっと前まで一億総中流と言われていましたが、今や一億総下流の時代です。
時代の荒波に飲み込まれないように副業を検討し始めたけど、本業にバレるかもしれない?税金はいくら掛かるの? おそらく疑問だらけだと思います。
私が不動産投資を始めた5年前も同じような疑問を抱き、調べるのに苦労しました。
これだけ副業が当たり前の話題になってきた現在でも具体的な解説や方法が記載された記事は見つかりません。だから私がその疑問に答えます!
この記事を読んでもらえば、副業のリスクと回避方法が理解でき、安心して副業を開始できるようになります。
(これからお話しすることは不動産投資に限らずほとんど全てのビジネスに当てはめることが出来るので、是非参考にして下さい。)
副業は法人でやるべき?本業の会社にバレない?節税面は? 全ての疑問に答えます!
その検証をこれから行っていきますが、具体的には副業を「個人でやるべきか/法人でやるべきか」の2択で以下1,2の観点から比較していきます。
- 本業の会社に副業がバレないか
- 税金・会計面で有利なのはどちらか
それでは早速比較していきましょう!
1. 本業の会社に副業がバレないか
まず、バレる経路を個人と法人のそれぞれの場合でお話しします。
なので副業を会社にバレたくない人はたとえ仲の良い友人であっても周囲に言うのは絶対に止めましょう。
個人でやる場合
「住民税を【特別徴収】にすると副業がバレるから【普通徴収】にしましょう」
ネットで調べると上記のような記事がいっぱい出てきますが、これは間違っています。
実際は、普通徴収にしても危険が残ります。
- 最近では住民税の特別徴収義務化が進んでおり、すべての事業主に対して原則として住民税の特別徴収を徹底するように義務付けられていますし、そもそも普通徴収の手続きは役場の担当者が作業するものなので人為的ミスが発生することも十分考えられます。
- 「副業の収入が20万円を超えていなければ申告不要」という話もよく聞きますがそれは間違いです。副業で収入を得た場合には必ず住民税が発生します(※本業で98万円以上稼いでいる前提)。
その住民税を普通徴収にしても結局バレるときがいつか来ますよ、というのが上記の説明ですが、そもそも副業して20万円未満しか稼がないわけが無いですよね。
ネットで調べるとだいたいコレですよね。
「住民税の納付書は自宅に送ってください」と確定申告書で設定しておくのが一番手っ取り早い方法ですが、人為的ミスなんてフツーに発生します。
自治体に直接連絡して『必ず分けて送ってください!』としつこく言うのもありかも知れませんがw、それでも完璧には防げません。
なぜネットで調べるとこの方法しか出てこないのか分かりませんが、この方法の肝になる部分は以下に集約されていると思います。
経理部は所得税の情報を持っていて年収も分かっていて住民税の当たりを付けることが出来るので、自治体がミスを会社に行く可能性はあるけど、経理部の人間がみんなプロかと言えばそんなことは無くて、おそらくマニュアルに沿って業務を行っている場合がほとんどなので、まずバレることは無い(気付かれない)ハズ。
↑こんな誰が考えたかも分からない推測を信じてリスクなんて取れないですよね。。
法人でやる場合
先ほどの個人の話でなんとなく本業にバレる=足が付いてしまうポイントが分かったと思います。
要は、本業とは別に給料やその他の所得が発生すると、そのお金の流れが本業の会社に把握されるという経路です。
なので、法人を作って自分に配当金や役員報酬を出さなければお金の流れで足が付きません。
では100%安全か?というとそうでもないのです。
みなさんは「登記簿図書館」を知っていますか?
登記情報を法務局よりも安く取得出来る民間企業のサービスなんですが、実は「名寄せ」機能が付いていて、不動産登記情報が名前や会社名から検索でき、法人登記情報が役員名(取締役名・監査役名)から検索できるようになっています。
つまり、“調べようと思えば” 調べられるのです。
しかし、個人の場合は本業の会社が調べようとしなくても気付くのに対し、法人の場合は悪意を持って従業員全員の名前を登記簿図書館で調べなければ気付かれません。
Q.本業の会社があなたの名前をわざわざ登記簿図書館で調べるでしょうか?
A.コンプライアンスや個人情報保護が声高に叫ばれる現代において、そんなリスキーなことはしないはずです。(もちろん可能性はゼロではないです。が、蓋然性は低いと考えます。)
住所も代表者も私にして法人設立してかれこれ5年経ちますが、バレる気配は全くありません。
2. 税金・会計面で有利なのはどちらか
個人と法人の税金・会計面の違いを、法人に焦点を当ててメリット/デメリットという面から比較していきたいと思います。
(∵先程のように個人/法人で場合分けすると情報量が多過ぎて訳が分からなくなるため。)
法人のメリット
よく個人の所得&住民税率と法人の諸々の税率を比較しているサイトがあるので、詳しく知りたい方は検索窓に「個人 法人 税率」などと入れてググってみて下さい。
具体的な計算方法(←こんなのは税理士の仕事です)はさておき、要点を知りたいという方は先に進みましょう!
実効税率の比較
まずは単純な実効税率(=法人は法人税+住民税+事業税+社会保険料、個人は所得税+住民税+事業税+社会保険料)の違いを下表にまとめました。
- 課税所得が少ない内は個人の方が有利ですが、500万円を超えたところから法人の方が有利になってきます。
- 巷では課税所得が1,000万円くらいになったときが法人化を検討するタイミングだとよく言われますが、それは課税所得1,000万円の納税額を比較すると法人の方が個人よりも50万円くらい安くて、それがちょうど法人設立費や税理士費用を賄って出金額が同じくらいになるという計算が前提になっているからです。
所得分散効果
- 法人の場合、自分の配偶者や家族を役員にして役員報酬を支給することが出来ます。
個人では所得が上がれば累進課税によってどんどん実効税率が上がってしまいますが、複数人で分ければ累進課税的にも少なくて済みます。 - 例えば、法人を設立して専業主婦の配偶者や収入ゼロの母親を役員にした場合、一人当たり98万円までなら役員報酬を出しても所得税も住民税も掛からないので申告不要です。
→申告不要ですから会社にバレる経路にもなりません。
給与所得控除を活用できる
- 法人では給与が経費計上され、受け取る側の個人では給与所得控除が使えます。
(分からない方はググって調べましょう。簡単に調べられる項目なので割愛します。)
相続対策になる
- 法人ならば、個人のように資産に対して相続税や贈与税が掛けられません。
- 不動産物件も会社で保有しておけば株式を譲渡すれば良いだけです。株式の評価は非上場の中小企業ならば凡そ時価評価の純資産価格程度のものなので、譲渡前に物件を購入して借入れを増やし、取得税等のアップフロント費用を計上しておけば株式評価額も下げることが可能です。(私自身まだ若いので試していません。気になる方は税理士に相談して下さい。)
損失を9年間繰り越せる
- 個人の場合は損失(繰越欠損金)を3年間しか繰り越せませんが、法人は9年間繰り越すことが可能です。
費用と見做される保険は全額費用化できる
- 定期生命保険や経営セーフティ救済などは全額費用化できます。経営セーフティ共済は中小企業基盤整備機構が運営主体なので安心ですがその名の通り法人しか入れません。
- 経営セーフティ共済の名目は「取引先倒産などのもしもの時の備え」ですが、大規模修繕の予定に合わせて積み立てておき修繕時に使って収入と支出を相殺することもできます。ただし短期解約をすると額面割れするので使う場合は商品性を確り見極めましょう。
法人のデメリット
- 設立費用が発生する。約30万円。
- 維持費として、税理士費用(約30万円)や、赤字でも毎年住民税の均等割7万円が発生する。
- 個人事業主よりも税務調査の確率が高い。
しかし、税務調査官の立場で考えれば年商1億円にも満たないような法人は全く目立ちませんし、わざわざ実地調査しても追徴できる金額の期待値は低いので税務調査が入る蓋然性は低いと考えます。
結論 法人でやるべきか / 個人でやるべきか
答えはでましたよね?
法人に決まってるっしょ!
それに、副業を始めるなら法人でやった方がバレる可能性は格段に下がりますからね。
今すぐではないけれど、
「いずれ独立してやってみたい事業がある」
「特にやりたいことも決まってないが、いつかはサラリーマンを卒業したいと思っている」
こんな人にも本業を続けながら、私が記事で書いているような不動産投資を始めて不動産保有会社を設立しておく、というのはお勧めだと思います。
ぜひ他の記事も参考に読んでいって下さいね!
それでは!